堂島酒造さんは、Fordum Abbeyというマナーハウスの中にあり、広大な敷地内には堂島酒造さん方々の邸宅があったり、日本庭園やIn-houseの陶芸家が作品を作るアトリエや建築中の茶室などもあります。
マナーハウスの中での木版画の展示会は、プリントアーティストのパーサー夫人さちこさんが案内をしてくださり、数は少ないながらも興味深いお話がたくさん聞くことができました。
実はパーサー夫人も昔は木版画もされていたそうで、大学で浮世絵のレポートを書いた私としても共感する部分が多くて、つい話し込んでしまいました。そして、どんどんアートもデジタルの媒体が多くなってきて…なんて悩みも大きく共感。
そして、暖炉の炊かれた居間では、お薄を点ててくださり、招待客の皆さまにお菓子と一緒にふるまっていただきました。週三回マナーハウスで行われているお茶のレッスンについてもお話を聞き、皆さんの着付けや袖のあしらいなども美しく、日本人顔負けでした。(厳かすぎて、写真は撮れませんでした。失礼!)
そして、当日逃したと思った酒蔵ツアーを、予定の回すべてが終わってからでよければ、ということで特別に案内してくださることになりました。まだ、お酒の仕込みが始まっていないということだったので、お酒の匂いで酔ってしまう私には好都合で、二つ返事でお願いしました。
そして、私の友人とほかに3人若い人たちと6人という少人数で案内してもらうことに。
ツアー中、地球の反対側のイギリスで日本の伝統的なものを伝統的な方法で作ることの難しさに、これまた共感を覚え、イギリスと日本の食品衛生の法律の違いや、水の違い、流通の難しさについていろいろ思うことがありました。
左)かなり磨かれているお米たちは普段私たちが食べるお米よりかなり小さな粒になってます。
右)麹の養育室です。杜氏さん以外は入れてもらえない菌厳禁のお部屋です。ここで杜氏の方は三日三晩麹のお世話にあたります。
お酒を造るときに二種類のお米を使うそうです。一つはお酒を発酵させるときに使う秋田酒こまち、もう一つは麹をそだてるときに使う山田錦です。山田錦といえば、兵庫県…おお、ここに同郷の物があるではないか!と、言ってたら、一緒にツアーを回っていた若い人たちの中にも、兵庫県出身の人が二人も!宝塚市と尼崎市出身というかなりご近所さん。本当に世界は狭いです。もう、かす汁の話で盛り上がりました!で、もうおひとりは愛媛出身だそうででかす汁を食べたことがないという…。ああ、もったいない。
向こうに見える背の高いお兄さんと比べても大きい!この醸造器にお米とお水と麹を三回に分けて仕込んでいきます。これを三段仕込みというそうです。
そして、案内をしてくださったくみこさんは、堂島酒造の英国でのPRをしており、彼女も酒粕に注目していることを教えてくれました。
例えば、千本のお酒を造るのに300~400キロの酒粕が出るそうです。そして、お酒を造る限り、その酒粕は生じるわけで…。お饅頭作り放題です。(笑)
最後に、利き酒会を開いていただきました。おおお、1本£1,000のお酒の飲み比べです!
なんて贅沢な!
どれほど自分が下戸であったことを口惜しく思ったことか!!!悔しかったので、チビっと味見して一番気に入った「懸橋」というお酒、持って帰ってきました。寝る前に飲んでそのままベッドに倒れこむ計算で。これは、お酒を造るときにお水ではなく、すでに出来上がった純米酒の「堂島」を使って発酵させます。すごく濃厚でフルーティーで、おいしかったです。
左より、「堂島」2021、「堂島」2020、そして私のお気に入りの「懸橋」です。