和菓子屋あん庵のイギリス奮闘記: 生まれて初めて行ってきました！(短編小説級の長さです。）

はい、イギリスに28年住んでて、初めてでした。

地元プレミアリーグ、ブライトンアルビオンのフットボールマッチをついにアメックス・スタジオで観戦してきました！

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事の始まりは、カフェの常連Iさんが「チケットが一枚余っているので、一緒に行ってくれる人を探している。典子さんは興味ある？」と、言ってくださったこと。昨年の9月の試合がエリザベス女王のご逝去のため延期され、大学生の息子さんが行けなくなってしまったからだそうで。

実は、カフェからのつながりで、三笘選手のサポートチームの方々と縁あって彼のサイン入りユニフォームまでいただいたので、彼のプレイする姿はいつか生で見てみたいとずっと思っていました。ただ、今年のブライトンアルビオンは強くて人気が爆上がりで、切符も購入するのにいろいろ制限がありました。しかも、試合は週末ばかりで、みんな満員御礼売り切れ。

半ばあきらめていた時のその一言は、思わず運命だと思ってしまいましたよ。ホント。ちょうどカフェを閉めてからスタジアムに行ける平日の夜7時半のキックオフ。またとないチャンスですよ！

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そして、日が近づくにつれ、対戦相手がA23の宿敵クリスタルパレス(以後パレス）とのダービー戦ということが分かり、話す人話す人「生まれて初めて観戦するマッチが、ダービー戦って、すごいねー。」と苦笑い。過去の「いろいろ」を聞くにつれ、いわゆるイギリスのフーリガンの何たるかが脳裏をよぎるのでした。「ま、昔の話だけどね」で終わるけど。

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当日は、これまたカフェの近所に住む常連さんのクリスさんと彼の息子さん2人が、私達と一緒に行ってくれることになったので、カフェの前で集合して徒歩一分の駅から電車に乗ることに。一本目の電車は、すでに満員で乗ることができず、次の電車に乗ってブライトン駅に降りる。

いや、唖然。

すでに長蛇の列ができ、アメックス・スタジアムの最寄り駅への電車のプラットフォームに近づくこともできない。とにかく、そこらじゅうは警察官だらけ。しかも、かなり重装備の警察官。なんだか、ことの重大さが今更ながらわかってきた。

クリスさんが私の顔を覗き込みながら、「これ、いつもはこんなじゃないからね。いつもならすぐに電車も乗り換えられて、こんなに警察官もいないよ。」っていう。苦笑いの意味がだんだん分かってきた。

ブライトンの駅は、パレス側のファンとアルビオン側のファンが顔合わせしないように、ぱっくり分かれていたのです。みんなChantを楽し気に歌っていたと思えば、どんどんエスカレートして、パレス側を貶す罵詈雑言のChantに終わるのです。そりゃ、ここにパレスファンが居たらキレるわ。クリスさん、二人の息子さん達がChantに加わろうとするのを必死で止めながら、私たちが迷子にならないように見てくれてる。いやー、英国紳士だ。助かりました。

そして、この状況が懐かしく思えた一瞬があった。なんだろ？なんだっけ？この、まったく知らない他人同士が、一つの目的に向かって行列を成し、ぎゅうぎゅうの電車に詰め込まれ、それでも楽しそうに共通の会話がはずんでいる。

こ、コミケだ。好きなことに対しては、本当に万国共通だなぁと思ったよ。うん。平和だ。

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さて、警察官の列に見守られながらスタジアムについたときは、すでに試合開始後10分。ブライトン駅で行列に並ぶこと1時間15分、電車が間に合わないとわかった時のクリスの青ざめた顔…。本当に暴動になるかと思ったもんね。まぁ、アルビオンがマッチのチケットで電車に無料で乗れるように配慮してくれているので、みんな文句は言えない。言ってたけどね。はは。

なかなか席が見つからず、とりあえず空いてる席に腰を下ろして「あ、三笘君あそこだー」って、指をさしたらいきなりゴール前アシスト。そしてそのまま、March選手が

ごおおおおおおおおーる。

あまりのタイミングの良さに、Iさんと一緒に年甲斐もなくキャーキャー叫ぶ。もう、この時点で帰ってもいいや、って思えるぐらいカッコよかった！私たちを待っててくれたのよね、と思うことにする。ありがとう。

そのあとも、ゲーム中いろいろありまして、パレス側の応援席から2度ほど爆発音がしたかと思ったら大量の煙が上がったり、雨は激しくなるばかりで選手がみんなつるつる滑ってこけまくってるし（三笘君も。でも試合後のケアで次の試合も大活躍でしたが）、停電が2度あり、2度目の停電の直後レフリーが選手全員をベンチに戻したときは、また再試合なのか？せっかくリードしてるのに？？と危ぶまれましたが、5分後に試合再開。ほっと胸をなでおろす。
こんなにいろいろあったのに、停電の中でも試合を続ける選手はやっぱりプロだと思った。